九州・沖縄昆虫研究会 2023年 秋の例会 (対面開催)

11月25日(土)の15:00から九州・沖縄昆虫研究会2023年度秋の例会を開催いたします。

日時:2023年11月25日(土)15:00-17:20
場所九州沖縄農業研究センター(熊本県合志市須屋2421)研究交流センター(注)1Fセミナー室
参加費:無料
参加申込:例会のみに参加の方は事前申し込み不要です

例会後、演者を囲んでの懇親会を開催予定です。懇親会参加を希望される方は、11月22日(水)までに下記のフォームからお申し込みください。

懇親会参加フォーム

講演1 (15:00-16:00)
農業害虫を益虫に。
宇佐見享嗣(名古屋大学高等研究院/トランスフォーマティブ生命分子研究所)
   生物や生体触媒(酵素)による高選択的な化学反応は、フラスコ内化学とは一線を画するものとして独自に発展・進化してきましたが、これら生物機能は有機合成化学とは異なる分野として捉えられ、積極的利用が立ち遅れています。そのため、この生物機能を今まさに求められている新物質創製や材料設計へ応用できれば、大きなブレークスルーが期待されます。本発表では、広食性昆虫のハスモンヨトウ幼虫を生体触媒に用い、我が国が世界トップレベルの機能性分子であるナノカーボン材料の生物変換反応について我々の奮闘を紹介します。

講演2 (16:20-17:20)
社会を持つ昆虫シロアリにおけるオスの存在意義に関する研究
矢代敏久(農研機構植物防疫研究部門)
   高度な社会を営む昆虫として知られているシロアリは、本来はオスとメスが共同で社会を営んでいます。しかしながら、日本に分布するナカジマシロアリのうち、四国と九州に生息する集団にはオスがおらずメスのみで繁殖を行っており、社会をオス無しで営むように進化したことを発見しました。この発見によって、オスとメスが共同で営む社会からオスがいなくなっても社会が存続し得ることが明らかになりました。また、ヤマトシロアリのメス(女王)が単為生殖卵と有性生殖卵を産み分ける方法を発見し、単為生殖の新たな進化経路の存在を示しました。これらの、シロアリにおけるオスの意義に関する重要な発見について、お話させていただきます。

世話人:藤井智久(農研機構植物防疫研究部門)


(注)会場は、正門を入って350mほど進み、向かって左手の2階建て建物です。

向かって右手に見える5階立建物(本館)の、道路を挟んで向かい側になります。

・会場に関する問い合わせ先:

海外飛来性害虫・先端防除技術グループ 藤井智久(096-242-7773; tomofuji@naro.affrc.go.jp)

[不在時対応:真田幸代])

 

九州・沖縄昆虫研究会 2023年 夏の例会 (対面・オンライン開催)

9月2日(土)の15:00から九州・沖縄昆虫研究会2023年度夏の例会を開催いたします。

日時:2023年09月02日(土)15:00-17:00
場所:九州大学 伊都キャンパス ウエスト5号館 226講義室  および  Zoom配信
参加費:無料
   参加を希望される方は8月23日(水)までに、下記のサイトからお申し込みください。申し込みいただいた方には、前日までに参加URLをお送りいたします。
   https://forms.gle/rP95atnbVYhzFFpj9

セミナー後、演者を囲んでの懇親会を開催予定です。

懇親会への参加をご希望の方、ご不明な点がある方は、九州・沖縄昆虫研究会幹事(屋宜 yagi.sadahisa@gmail.com)までご連絡ください。

講演1 (15:00-)
基質振動を活用したタバココナジラミの物理的防除
柳澤隆平(九州大・ 理・生物)
   植物や地面などの基質を伝わる振動は音や光、匂いなどと同様に多くの昆虫において重要な刺激である。生物が発生させる振動や振動に対する生物の応答に関連した研究分野はバイオトレモロジーと呼ばれており、近年では振動を与えて昆虫の振動に対する生得的な行動を人為的に制御することで、作物を保護しようと試みる研究が注目され始めている。タバココナジラミは化学農薬に対する薬剤抵抗性が発達していることから防除が困難な農業害虫として知られている。演者はこれまでの研究から、施設栽培のトマトの植物体に振動を与える圃場試験を行い、振動によりタバココナジラミの密度が低減することを明らかにした。本公演ではこれまでに行った2回の圃場試験について紹介する。

講演2 (16:05-)
ノメイガ類における“Hybrid type”性フェロモンの普遍性と進化
松井悠樹(九州大院・農・昆虫)
   蛾類の雌性性フェロモンは化学構造の違いからタイプI(脂肪族型)とタイプII(炭化水素型)に大別される。大部分の蛾類はどちらか片方のタイプのみを使用しているが、ノメイガ類(ツトガ科ヒゲナガノメイガ亜科とノメイガ亜科を合わせた総称)では、一部の種がタイプIとIIの両者を用いる“Hybrid type”と呼ばれる特殊な性フェロモンの利用様式を持つ。しかし、この特殊な様式がノメイガ類においてどの程度普遍的であるかは未知数であった。演者らは、まず雌のフェロモン腺にタイプII成分が含まれるか否かを、約60種のノメイガ類を用いてスクリーニングした。その結果、ほぼ全ての種からタイプIと共にタイプII成分が見つかり、それらは潜在的なHybrid typeである可能性が示唆された。そこで次に、フェロモン腺抽出物をタイプIとIIに分画し、各画分に対する雄の応答を観察した。意外なことに、タイプIとIIの混合物に対して強く応答した種(=Hybrid type)は7種のみであった。また、これにより明らかになった各種の性フェロモン利用様式を分子系統樹にマッピングし、Hybrid typeと系統進化の関連について考察した。

 

九州・沖縄昆虫研究会 2023年 春の例会 (対面・オンライン開催)

今回も第99回九州昆虫セミナーとの合同開催で、 先日の日本応用動物昆虫学会大会で奨励賞を受賞されました 松尾和典さんと藤井智久さんに話題提供をしていただきます。

日時:2023年04月22日(土)15:30-17:50
場所:佐賀大学 農学部1号館 南棟1階 第3講義室 および Zoom配信
参加費:無料
   参加を希望される方は、4月20日(木)までに下記のサイトからお申し込みください。申し込みいただいた方には、前日までに参加URLをお送りいたします。
   https://forms.office.com/r/sySSaupztU

セミナー後、演者を囲んでの懇親会を開催予定です。

懇親会への参加をご希望の方、ご不明な点がある方は、九州・沖縄昆虫研究会幹事(徳田 tokudam@cc.saga-u.ac.jp)までご連絡ください。

講演1 (15:30-)
ダイズサヤタマバエとトビイロウンカの基盤的研究
藤井智久(農研機構 植物防疫研究部門)
   農業害虫の防除技術開発において、害虫の基盤的研究から得られた知識の体系化は重要なステップである。本講演では、大豆と水稲の主要害虫であるダイズサヤタマバエとトビイロウンカの基盤的研究に焦点を当てた。2013年に北海道と秋田県で多発生したダイズサヤタマバエの発育ゼロ点と遺伝子解析に基づく関東地域から北日本地域への長距離分散の推定、トビイロウンカのイミダクロプリド抵抗性発達に伴うネオニコチノイド系殺虫剤他剤に対する交差抵抗性の発達と適応度コストの関係解明、そして、トビイロウンカ抵抗性品種加害性モニタリングから新たな育種素材を発見した事例などを紹介する。

講演2 (16:50-)
コバチ上科を中心とした寄生蜂類の多様性と農業での利用
松尾和典(九州大学 比較社会文化研究院)
  チョウの幼虫を大切に育てていたら小さなハチが出てきた、という悲劇が各地で繰り返されている。かのダーウィンもその一人として、その衝撃を知人への手紙に綴っている。寄生蜂の寄生対象はチョウに限らず、植物体内に潜る昆虫、水中で生活する昆虫も含まれており、その多様な形態や生態は、古くから研究対象となってきた。農業においては、寄生蜂は天敵昆虫として害虫防除に活用されてきた。アフリカにおいて約2000万人の食を救ったとされる寄生蜂もいる。本講演では、寄生蜂の多様な形態や生態を紹介するとともに、農業における利用事例を紹介したい。

 

九州・沖縄昆虫研究会 2022年 秋の例会 (オンライン開催)

日時:2022年11月19日(土)15:00-17:00
場所オンライン(Zoomミーティング;14:30ログイン受付開始)
参加費無料
   参加を希望される方は、10月16日(水)までに下記のサイトからお申し込みください。申し込みいただいた方には、前日までに参加URLをお送りいたします。
   https://forms.gle/EFkDkoLGQs4BP5mJ8

ご不明な点があれば,九州・沖縄昆虫研究会幹事(屋宜 yagi.sadahisa@agr.kyushu-u.ac.jp)までお問い合わせください。


講演1 (15:00-)
過変態昆虫マメハンミョウの環境適応能力
寺尾美里(南九州大・フィールド教育センター)
   昆虫は生活史戦略を進化させて環境に適応し、繁栄してきた。不適な季節を乗り切るための休眠や餌資源の多様化など、その戦略は複雑であり種によって異なる。マメハンミョウEpicauta gorhami(コウチュウ目ツチハンミョウ科)は、幼虫時に形態を劇的に変化させる「過変態」をする昆虫として知られる。本種幼虫は土中のバッタ類の卵鞘に食入して発育を開始し、休眠に特化した「擬蛹」と呼ばれる特殊な形態の5齢幼虫で越冬する。このように本種はユニークな特徴を持つことが知られているものの、幼虫が利用する特殊な餌資源や土中生活であることから、飼育に基づく報告は少ない。演者らは、マメハンミョウの累代飼育に成功し、進化的・生理的側面を明らかにするため、種々の飼育実験を行っている。本講演では、演者が行ってきたマメハンミョウ実験(@擬蛹休眠の終了条件、A幼虫期の餌不足時における適応能力(早熟変態)、B餌条件に依存した休眠誘導の地理的変異、C早熟変態由来の小さな成虫の繁殖可能性)の結果とともに、過変態や餌資源の特殊性が深く関わっているマメハンミョウの生活史調節機構について紹介する。

講演2 (16:00-)
宿主昆虫の累代飼育過程で生じた共生細菌ボルバキアの細胞質不和合遺伝子の欠失
吉田一貴(佐賀大・農)
  ボルバキアは最も繁栄に成功した共生細菌とされており、地上の節足動物の半数近くに感染していると推測されている。その繁栄の根底にあるのが、ボルバキアが宿主に対して行う多様な生殖操作である。中でも、宿主のボルバキア感染オスと非感染メスが交配した際に子が孵化しない「細胞質不和合(CI)」と呼ばれる現象は、多くのボルバキア株と宿主の間で確認されている最も一般的な生殖操作であり、宿主個体群中にボルバキア感染を急速に拡散しうる巧みな戦略である。近年、CIの遺伝基盤としてボルバキアの遺伝子cifAとcifBが同定され、CIに関する研究は躍進したが、その詳細な分子メカニズムは未だ不明な点が多い。今回は、演者がヒメトビウンカ(カメムシ目ウンカ科)のボルバキアで偶然発見した、宿主昆虫の飼育過程におけるcif遺伝子の欠失現象について紹介し、そこから示唆されたCIの分子モデルやボルバキアとCI遺伝子のコンフリクトについて論じる。

 

九州・沖縄昆虫研究会 2022年 夏の例会 (オンライン開催)

日時:2022年10月01日(土)15:00-17:00
場所オンライン(Zoomミーティング;14:30ログイン受付開始)
参加費無料
   参加を希望される方は、9月28日(水)までに下記のサイトからお申し込みください。申し込みいただいた方には、前日までに参加URLをお送りいたします。
   https://forms.gle/9hcfezzNYcTee4jb6

ご不明な点があれば,九州・沖縄昆虫研究会幹事(屋宜 yagi.sadahisa@agr.kyushu-u.ac.jp)までお問い合わせください。


講演1 (15:00-)
昆虫の多様性と進化がわかる図鑑を作る
丸山 宗利(九州大・博)
  研究の普及啓発には、その裾野を広げる点で重要な意義がある。その点、昆虫は多くの子供が興味を持っていることから、昆虫学はそれを実施しやすい分野と言える。昆虫の普及啓発の切り口として、もっとも重要なものに学習図鑑がある。実際、昆虫学者のみならず、多くの自然科学の研究者は、子供の頃に昆虫図鑑を手にして、それを科学の入り口としてきた。昆虫は身近な存在であることから、図鑑を通じて直接調べることによって、一般生物学や生物多様性への理解を深めるきっかけとなる。演者は、日本産昆虫の学習図鑑としては最大の種数(2836種)を掲載する図鑑『学研の図鑑LIVE昆虫 新版』(2022年6月出版)の総監修をつとめた。この図鑑は種数のみならず、すべての昆虫が生きたまま撮影され、全体を通じて多様性と進化がわかるという点で、これまでにないものとなった。その制作の道のりは決して簡単なものではなく、さまざまな出来事があった。九大の教員や演者の指導学生も執筆者や採集において大きな貢献をしている。本講演では、その制作の様子や、図鑑の見どころについて紹介する。

講演2 (16:00-)
特定外来生物ツマアカスズメバチの福岡への侵入
上野 高敏(九州大・農)
 ツマアカスズメバチ Vespa velutina はアジアに広域分布するが、2000年代に入り、中国大陸産の個体群がヨーロッパと韓国に侵入・定着し、両地域で分布を拡大している。さらに長崎県の対馬へも2010年代初頭に侵入し、定着してしまった。人への刺傷や生態系ならびに養蜂業への悪影響が懸念されることから、特定外来生物に指定され、日本本土への侵入が警戒されてきたが、その後も散発的とはいえ九州各県や山口県において発見されている。幸いなことに、現時点では本土への定着には至っていない。ところが今年の春になってツマアカスズメバチが福岡県下において続けざまに捕獲された。さらに演者の調査により多数の働き蜂が夏以降、県下で確認された。本講演では、ツマアカスズメバチの侵入定着状況について総括しつつ、福岡県においてまさに定着の一歩手前にあるツマアカスズメバチの状況について紹介し、本種の本土への定着がもたらす生態系や養蜂への影響について発表する

 

九州・沖縄昆虫研究会 2022年 春の例会 (オンライン開催)

日時:2022年04月24日(日)15:00-17:20
場所オンライン(Zoomミーティング;14:30ログイン受付開始)
   参加を希望される方は、4月22日(金)までに下記のサイトからお申し込みください。
   https://forms.office.com/r/XE88UbyPDZ


講演1 (15:00-)
キノコバエに送粉される植物の隠された多様性と 新しい送粉シンドローム
望月 昂(東大院・理・植物園)
 双翅目は花でもっとも頻繁に観察される昆虫のひとつであり、ハナバチに次いで多くの植物の花粉運搬を担うと考えられている。双翅目との相互作用が植物にどのような進化をもたらすのかは明らかでない。 本発表では、双翅目昆虫の中でも、キノコバエに注目した研究を紹介したい。キノコバエなどの微小双翅目は花粉運搬に向かないとされるが、日本のフロラにおける野外調査から5科7種の植物が新たにキノコバエに送粉されることが明らかになった。これらの植物は形態的に類似した特徴的な暗赤色の花を共有するが、ニシキギ属における検討から、キノコバエによる送粉と関連して進化した収斂形質「送粉シンドローム」であることが示唆された。キノコバエに送粉される植物は暗く、湿った林床などハナバチやチョウなどの送粉者の少ない環境に生育している。キノコバエは、これまでないがしろにされてきた森の中の重要な送粉者であると考えられる。

講演2 (16:15-)
トノサマバッタにおけるRNA干渉から昆虫食まで
管原 亮平(弘前大・農生)
 トビバッタの相変異については本会ですでに田中誠二博士が講演されています。今回はトノサマバッタの分子生物学の分野と昆虫食に関することを少し紹介します。相変異研究の過程で明らかになった、RNA干渉の感受性における地理的変異について、発見の経緯と遺伝的特性について説明します。その後、大きく話を変えて、昆虫食に関する取り組みについても紹介します。

 

九州・沖縄昆虫研究会 2021年 秋の例会 (オンライン開催)

日時:2021年11月06日(土)15:00-17:20
場所オンライン(Zoomミーティング;14:30ログイン受付開始)
   参加を希望される方は、11月4日(木)までに下記のサイトからお申し込みください。
   https://forms.office.com/r/1fPEB319Tk


講演1 (15:00-)
コケ擬態昆虫"の窓から覗く、森林生態系におけるコケの機能
今田 弓女(愛媛大・理工)
 森の中には、多種多様なコケが生息しています。私は、小さなコケが森林生態系においてどんな役割を果たしてきたかを知りたいと考えています。近年、コケにきわめて巧妙に擬態しているシリブトガガンボ類に注目しています。林床に広がるコケの絨毯は、動物による食害が少なく、したがってそれらを捕食するような大型動物も少ない、いわゆる天敵不在の空間と考えられてきました。しかし、コケに擬態する昆虫は、それらを視覚に頼って狩るなんらかの天敵が存在し、コケを起点とした複雑な生物間相互作用網が形成されていることを示唆しています。今回は、このようにコケと接点をもつさまざまな昆虫の生態を中心に、コケの生態系機能を解明しようとする最近の取り組みについてお話しします。

講演2 (16:20-)
雪の下で活動する昆虫群集を探る
中村 剛之(弘前大学白神自然環境研究センター)
 クモガタガガンボのように、雪の降る中でも冬眠することなく、活発に活動を続ける昆虫が少数ながら知られています。以前は、こうした昆虫は雪の表面を主な活動の場とすると考えられていましたが、私が白神山地でその生息環境を調査したところ、雪と地面の間の狭い空間で、さまざまな昆虫が厳冬期にも活動を続けていることがわかってきました。日本列島は世界屈指の豪雪地帯です。毎年安定して降り積もる厚い雪の下では、この環境に適応した特殊な昆虫群集が形成されている可能性があります。10年ほど前から、北日本各地でこの昆虫群集の調査を始めました。本公演では、私が取り組んでいる雪の下の調査の様子やその成果を紹介します。

 

九州・沖縄昆虫研究会 2021年 夏の例会 (オンライン開催)

日時:2021年09月25日(土)15:00-16:00
場所オンライン(Zoomミーティング;14:30ログイン受付開始)
   参加を希望される方は、9月23日(木)までに下記のサイトからお申し込みください。
   https://forms.office.com/r/KJmVan6SUg


講演 (15:05-)
日本産フキバッタに関してわかってきたこと
立田 晴記(九州大・理・生物)
 日本に分布するフキバッタは9属22種が知られている.例えばヤマトフキバッタのように,種内に様々な表現型多型を有するグループでは地域ごとに異なる種・亜種が記載されるなど,分類学的混乱をしばしば招いてきた.こうした多型が生じる要因として,ハネナガフキバッタを除いて翅が退縮しており,集団間の遺伝子流動が妨げられることで遺伝的分化が生じやすいためと考えられる.セミナーではフキバッタの系統進化について得られた情報について触れ,次にライフワークとして取り組んでいるサッポロフキバッタについてこれまで得られた知見と今後の研究展望を時間の許す限り紹介したい.

 

九州・沖縄昆虫研究会 2021年 春の例会 (オンライン開催)
兼 第94回九州昆虫セミナー

日時:2021年06月05日(土)15:00-17:30
場所オンライン(Zoomミーティング;14:30ログイン受付開始)
   参加を希望される方は、6月3日(木)までに下記のサイトからお申し込みください。
   https://forms.office.com/r/2wt7dYJ6cA


講演1 (15:00-)
昆虫共生細菌のゲノムを決める?どうやって決める?何が見える??
安佛尚志(産総研・早大生体システムビッグデータ解析OIL)
 環境中には肉眼では見ることのできない微生物が数百万種以上存在すると考えられているが、その99%以上は培養することができない。「微生物ダークマター」とも呼ばれる、これらの微生物のゲノムには未発見・未利用の遺伝子資源が眠っていると考えられ、注目されている。多くの昆虫の体内にも培養できない共生細菌が存在しており、宿主にとって様々な影響を及ぼすことからも興味深い研究対象であるが、そのゲノム解析は一筋縄ではいかない場合が多い。本講演では、難培養性の昆虫共生細菌のゲノムをどうやって決定するのか、また決定したゲノムからどんなことがわかるのかというテーマで、クロカタゾウムシの共生細菌ナルドネラ、ショウジョウバエの共生細菌スピロプラズマのゲノム決定と機能解析、さらには最近取り組んでいる共生細菌ボルバキアのシングルセルゲノム解析について紹介したい。


講演2 (16:15-)
昆虫が孵化する時を決めるしくみ
沼田英治(京都大学)
 卵と1齢幼虫ではさまざまな性質が異なるため、劇的な変化をともなう孵化をいつ行うのかは昆虫にとって重要な課題である。本講演では、孵化する時を決める多様なしくみとその意義について演者らがこれまでに行った研究を紹介する。カイコガは、時計遺伝子periodを含む概日時計によって、朝に孵化する。クマゼミは、高湿度が孵化を誘導するしくみによって1齢幼虫が雨の日の濡れた土に潜ることを可能にしている。クサギカメムシは、きょうだいが孵化する際の振動に応答して孵化することにより、同じ卵塊の卵が斉一孵化する。これは、先に孵化したきょうだいによる共食いから逃れるためと推定される。このように、昆虫はその究極要因に応じて、体内、環境、同種個体からの情報を至近要因として孵化する時を決めている。

[世話人:徳田 誠(佐賀大学)]

 

九州・沖縄昆虫研究会 2020年 秋の例会

日時:2020年11月14日(土)15:00-17:00
場所オンライン(Zoomミーティング)

講演1 (15:05-16:00)
潜葉性小蛾類モグリチビガ科Ectoedemia属の多様性
屋宜禎央 博士(九州大)
 潜葉性昆虫は、幼虫が葉の中に潜って摂食する昆虫のことである。その中でも、チョウ目は潜葉性として知られる種数が多く、潜孔(食痕)の形状や摂食部位といった潜葉習性も多様である。また、潜葉性小蛾類は、チョウ目の原始的な分類群の種数の多数を占めることから、潜葉性がチョウ目の進化の初期の爆発的な多様化を遂げる上で非常に大きな役割を果たしたと考えられる。一方で、体サイズの小ささや飼育に時間がかかることなどから、多くの種が未記載種として残っている。演者は、近縁種間でも線状、腸状、斑状といったように多様な潜孔の形状が見られ、旧北区で放散しているモグリチビガ科Ectoedemia属を対象に研究を行っている。日本産本属は12種の種名が確定しているが、実際は50種以上分布していることがわかってきた。本講演では、本グループの日本における種多様性や潜葉習性、系統関係について、モグリチビガ科Stigmella属やホソガ科といった他の潜葉性小蛾類と比較しつつ紹介する。


講演2 (16:00-16:55)
昆虫とストレス研究
早川洋一 博士(佐賀大)
 生物は様々なストレスに晒されている。それが、広範な生理機能に影響を及ぼし、時には個体死をもたらすことさえある。私達は致死レベル以下のストレスであれば生き永らえ、それ以上であれば息絶える。しかし、ある個体にとって、対象とするストレスが致死レベル以上か、あるいは以下かは必ずしも固定的なものではない。多様な因子が、ストレスによる影響の変動要因となるが、中でも、“順応性”はその最たるものと言える。即ち、そのストレスに慣れてしまえば、かなりの強度のストレスに対する耐性を獲得することになる。“ストレス順応性”あるいは同義の“ホルミシス”は、これまで多くの生物種で報告されて来たものの、その誘導メカニズムに関しては未解明な点が数多く残る生理現象と言える。
 寄生蜂と宿主昆虫との生理的相互作用は、長年に渡る私達の主要研究テーマである。寄生蜂カリヤコマユバチは、宿主アワヨトウ幼虫への寄生の際、1度に数10個の卵を産卵する多寄生蜂である。産卵された卵は、翌日、幼虫へと孵化するので、それから脱出までの約10日間、その体内で徐々に成長する寄生蜂の存在は、宿主幼虫にとって極度のストレスとなろう事は想像に難くない。こうした寄生蜂による寄生が、宿主アワヨトウに対してストレス順応性を付与する可能性を検証した。その結果、確かに寄生された宿主幼虫の方が、未寄生幼虫よりも熱ストレスに対する抵抗性が有意に高い事が明らかになった。更に、未寄生幼虫への既寄生アワヨトウ幼虫体液の注射が、未寄生個体の熱ストレス耐性を上昇させることも確認できた。
 一連の(古典的)生化学的手法を用いて、(既寄生アワヨトウ幼虫体液中の)ストレス耐性誘導活性を示す物質が、単純なアミノ酸の一種であるN-acetyltyrosineである事が分かった。本講演では、N-acetyltyrosineのストレス依存的動態や生理機能などについて紹介したい。

 

九州・沖縄昆虫研究会 2019年 秋の例会 兼 第87回九州昆虫セミナー

日時:2019年10月12日(土)15:00-17:00(懇親会19:00-)
場所九州沖縄農業研究センター(合志市)研究交流センターセミナー室

講演1 (15:00-16:00)
野外調査から見えてきたカブモザイクウイルスの臨機応変な分散戦略
安達修平 博士 (九州沖縄農業研究センター)
 カブモザイクウイルス(TuMV)は、主にアブラナ科植物に感染する植物病原性ウイルスで、専らアブラムシによって非永続的に伝搬される。日本では特にダイコンやカブなどの作物で発生するウイルスであるが、日本での野生宿主に関する情報や、野生宿主からアブラナ科作物にいつ、どの種のアブラムシがTuMVを媒介しているのか未解明な点が多い。また、興味深い事例として、TuMVは2000年頃を境として優占するゲノム型グループがworld-Bからbasal-BRに置き換わったことが九州で報告されている。本発表では、これまで実施してきた野外調査および室内実験により明らかとなってきたTuMVの野外での伝染環やアブラムシとの関係性、ゲノム型グループ置き換わりの要因について考察する。


講演2 (16:20-17:20)
熊本県でのウリ類退緑黄化病の発生状況と防除対策
樋口聡志 博士 (熊本県鹿本農業普及・振興課)
 2004年、熊本県で栽培されているメロンにおいて、タバココナジラミが媒介するウリ類退緑黄化ウイルスCucurbit chlorotic yellows virus (CCYV)が初確認された。その後、CCYVが引き起こすウリ類退緑黄化病の発生は、国内で広がるとともに、中国やスーダン等の海外でも確認されている。
 本病の発生は、メロン、スイカ、キュウリの果実品質や収量に影響するため、生産現場で大きな問題となっている。本講演では、プロジェクト研究等により開発された本病に対する防除対策を紹介したい。また、全国有数のスイカ産地である鹿本地域の普及指導員として勤務しており、本病の発生状況や防除対策の課題を述べたい。

 

例会終了後、お二方を囲んでの懇親会を企画いたします。会場は熊本市内になる見込みです。
参加を希望される方は徳田 tokudam[アット]cc.saga-u.ac.jp までお知らせいただけますと幸いです。

何卒よろしくお願いいたします。

 

九州・沖縄昆虫研究会 2019年 夏の例会

日時:2019年7月20日(土)15:00-17:00
場所九州大学伊都キャンパス イースト一号館 E-A-118
   https://www.kyushu-u.ac.jp/f/35762/2019ito_2.pdf (80番の建物です)


講演1 (15:00-15:50)
ポストゲノム時代のアブラムシ研究
小川浩太 (九州大学大学院・比較社会文化研究院 生物多様性講座)
 半翅目昆虫アブラムシは家庭菜園や観葉植物上でもよく見られる非常に身近な生物でありながら周期性単為生殖や胎生単為生殖、共生細菌ブフネラとの細胞内共生などいくつものユニークな特徴を備えている。そのため、アブラムシは生物学の歴史上の主要な議論においてしばしば引き合いに出されてきた。例えば、Leeuwenhoekはアブラムシの母虫体内に多数の発生中の胚が存在することを観察し(Leeuwenhoek 1695, 1700)、前成説を支持した。また、Charles Bonnetはアブラムシが単為生殖を行うことを実験的に証明し(Bonnet, 1745)、前成説のなかでも精子の中にひな型が入っているという精虫論(精子論)を否定した。1902年にSuttonが染色体説を提唱すると、当時、単為生殖の研究をしていたMorganとStevensはアブラムシの母虫が単為生殖によって核型の異なるオスを産出することを示し(e.g. Mogan 1908)、細胞質に含まれる物質により核型や性、遺伝的形質が決定されるとの対立仮説を提唱した。これらの議論には誤りを含むものも少なくないが、アブラムシの例外的な形質に着目することによってより深い議論がなされたことは間違いない。今日ではいわゆるモデル生物が擁立され、分子レベルで生物の共通性が解明されつつあるが、我々はアブラムシのユニークな生活史や形質を制御する分子基盤や進化プロセスを示すことで生命現象や生物進化のより深い理解が得られると考えている。今回はアブラムシの繁殖多型や生活史進化に関する我々の最近の研究成果を発表するとともに、非モデル生物におけるポストゲノム解析のあり方・問題点について議論したい。エンドウヒゲナガアブラムシ Acyrtiohiphon pisum のゲノムが解読され9年たったが(IAGC 2010)、私の所属する日本アブラムシ研究会が行ってきたアブラムシ研究環境の“インフラ整備”についても紹介し、アブラムシ研究の今後の展望について議論したい。


講演2 (16:10-17:00)
吸血性節足動物が保有・媒介するウイルス
藤田龍介 (九州大学大学院・農学研究院 衛生昆虫学研究室)
 衛生昆虫とは人や動物に公衆衛生上の害を与える節足動物の総称であり、蚊やマダニなどの吸血により病原体を媒介するもの、ハエのように物理的に病原体を運ぶもの、クモなどのように毒性物質により傷害をあたえるものなど様々である。この中で最も人類にとって脅威となっているのは蚊が媒介する病原体であり、蚊によって媒介されるマラリアやデングウイルスは感染者が数億人と尋常ではない被害を生み出している。我が国では戦後の発展とともに公衆衛生環境が改善され、衛生昆虫による被害は激減しているが、近年のインバウンドの促進と長年の被害の減少による対策の亡失によって新たなリスクが顕在化してきている。例えば2014年には東京でデングウイルスの国内アウトブレイクがおよそ70年ぶりに発生、翌2015年からはジカウイルスの世界的流行が起きるなど枚挙に暇がない。我々はこれらの懸念を受けて吸血性節足動物が保有するウイルスの分離と同定を行い、これまで知られていなかった新規ウイルスを数多く発見した。今回は我々が実施してきた新規ウイルス探索について紹介するとともに、新規ウイルスの解析法についての現在の取り組みについて議論したい。

交流会 L-Cafe  17:30-

 

九州・沖縄昆虫研究会 2019年 春の例会

日時:2019年6月15日(土)15:00-17:20(懇親会18:00-)
場所:佐賀大学農学部1号館南棟1階S101

講演1(15:00-16:00)
アキアカネはなぜ減ったのか? ―水田の殺虫剤が与えた因果的影響の評価
中西康介(国立環境研究所 環境リスク・健康研究センター)
 水田は主にイネを栽培するための農地であるが,湿地の生物多様性を支える重要な役割も果たしている。しかし近年,多くの水田生物がレッドリストに掲載されるほど個体数を減少させている。「赤とんぼ」として人々に親しまれ,田園風景を象徴する存在であったアキアカネも例外ではない。アキアカネは1990年代後半に日本各地で激減したと報告されている。その要因として,圃場整備,減反,中干し,農薬などの水田環境の変化や温暖化の影響などが指摘されている。これらの中で特に主要因として疑われているのが,アキアカネ激減期と同じく1990年代後半に普及したオニコチノイド系やフェニルピラゾール系などの育苗箱施用殺虫剤である。本発表では,これらの殺虫剤がアキアカネの個体群減少に与えた因果的影響について,既往の実験的知見やアキアカネの個体数データ,農薬出荷量データ等を分析し評価した結果について紹介する。

講演2(16:20-17:20)
「生態学における統計的因果推論」という大ネタへの挑戦:その理論的背景と適用事例
林 岳彦(国立環境研究所 環境リスク・健康研究センター)
相関と因果は異なる、ということは良く知られている。しかし、生態学における野外調査データの解析においてその違いを十分に理解した上での解析が行われている例は少ない。例えば、生態学におけるデータ解析において最も広まっている解析手法の一つとしてAICによるモデル選択が挙げられる。しかし、ある説明変数についての因果効果(ある説明変数を介入により変化させたときの目的変数の変化量)が興味の対象である場合には、AICに基づくベストモデルがその妥当な因果効果の推定値をもたらす理論的な根拠はない(にも関わらず残念ながらAIC等で選択したモデルに基づき因果効果を論じている研究が生態学分野では数多く行われている)。本発表では、統計的に因果効果を推定するための理論的根拠となるバックドア基準について解説する。また、バックドア基準の考え方に基づき因果効果を推定した事例として、(1)ネオニコチノイド系農薬がミツバチに与える影響についての野外調査データ解析、(2)重金属が河川中底生昆虫に与える影響についての野外調査データ解析について報告し、相関と因果の違いを十分に理解していない解析が間違った結論を導き出すことを示す。(余力があれば佐賀大の徳田誠准教授のグループと共同で進めている野外トンボ調査のデータ解析についても触れたい)
参考文献:岩波データサイエンスVol. 3「特集:因果推論」および特集内記事である林・黒木(2016)『相関と因果と丸と矢印のはなし --- はじめてのバックドア基準』

九州・沖縄昆虫研究会 2018年夏の例会

 梅雨明けが待ち遠しい時期ですが,皆様はいかがお過ごしでしょうか.
 さて,九州・沖縄昆虫研究会の第2回の例会のご案内を差し上げます.
 今回は,九州大学にて研究している若手のお二人,會津光博さんと駒形森さんに話題を提供していただけるようにお願いいたしました. 是非多数の皆様にご参加頂けますと非常に幸いです.
―――
日時:2018年7月21日(土)15:00〜17:30
  (懇親会18:30〜;会場未定)
場所九州大学伊都キャンパス イースト1号館 1F E-B-112 (イーストゾーン 建物番号88)

講演1  會津 光博(九大院・工学研究院附属環境工学研究教育センター)
  環境DNAから視える魚類生態系

講演2  駒形 森(九大院・地球社会統合科学府)
  昆虫比較形態学におけるCTスキャンの適用

18:30〜 懇親会
(参加費:3,500円[予定])
―――
※懇親会への参加を希望される方は,7月18日(水)までに舘 tachi [アット] scs.kyushu-u.ac.jp までご連絡頂けますと幸いです.何卒よろしくお願いいたします.

 

講演1 環境DNAから視える魚類生態系

會津光博(九州大学大学院工学研究院附属環境工学研究教育センター・学術研究員)

 生物の保全・管理をする上で、対象種の分布域や個体数の把握は重要な情報であり、従来はタモ網や投網、電気ショッカー等による捕獲や漁獲物調査を中心に、生物モニタリング調査が進められてきた。しかしながら、上述の従来型手法は、調査者の経験や技術による結果のバラツキや調査手法による捕獲漏れの可能性があることに加え、相当な時間と労力を必要とする。また、種同定には各分類群のスペシャリストが必要であり、迅速な情報把握が困難であった。
従来の課題を克服する手法として、環境DNA分析が注目されている。環境DNAとは、生物から放出されて水中に漂うDNAの総称であり、粘液や排泄物等に由来する。この環境DNAをサンプリング・分析することで、どのような種が調査地域周辺に存在していたか把握することができる。また、外部由来のDNAを混入させないよう十分注意することが求められるが、調査は採水・濾過のみであることから、誰でも容易に実施することができる。調査は非侵襲的な手法であることから、希少種モニタリングへの適用や、侵入の有無を迅速に把握することが求められる外来種の検出にも有用である。
環境DNA分析による生物種の検出には主に2つの手法があり、種特異的なプライマーを用いたリアルタイムPCRにより対象生物の生物量や個体数の推定を試みる方法と、ユニバーサルプライマーを用いたPCRと次世代シーケンサーによる超並列シーケンスを行うことで、網羅的な生物情報の取得する方法がある。特に後述の手法は環境DNAメタバーコーディングと呼ばれ、群集レベルの生物多様性を解明できる新たなモニタリング手法として注目されている。
発表者は、CREST【環境DNA分析に基づく魚類群集の定量モニタリングと生態系評価手法の開発】に参加し、対馬等の離島や、福岡県沿岸域や河川、九州各地沿岸域を対象に、環境DNAメタバーコーディングによる網羅的な魚類相の把握を試みている。発表では成果の一部を紹介するとともに、今後の展開について述べる予定である。


講演2 昆虫比較形態学におけるCTスキャンの適用

駒形 森(九州大学大学院地球社会統合科学府・博士後期課程1年)

生物の内部構造を詳細に理解することは、多くの研究者にとって魅力的だが、困難な課題でもある。昆虫の体は外骨格、筋肉、消化管、神経系など、実に様々な組織によって構成されている。しかし、内部に隠された軟組織の立体構造を観察することは困難なことから、多くの形態学的研究は外骨格の構造に偏った情報に基づいて行われている。
近年、コンピューター断層撮影(CT)と画像構築技術の進歩によって、その現状は大きく変わりつつある。CT技術は1970年代後半に、主に医療分野において実用的な利用が始まった。2000年以降は分解能と画像処理速度の向上が著しく、現在では1μm以下の精度で撮影が可能となっている。CTスキャンによって得られた3次元モデルは、任意の角度からのスライスや、特定の器官の抽出を行うことができる。伝統的な解剖とは異なり、標本そのものは非破壊のまま、事実上何度でも解剖することが可能となった。また、体積の分析はCTならではの計測方法である。
演者は今年度から、CT技術を昆虫学に応用する取り組みを開始している。今回は、飛翔性が認められない伊豆諸島のクワガタムシ類について、飛翔筋の観察を行なった研究を例に、九州大学でのCTスキャナーの利用方法や具体的な画像処理の方法について紹介する。また、昆虫を生きたままスキャンし、同一個体を継時的に観察する挑戦について取り上げ、寄主内部における捕食寄生者の観察など、生態学分野への活用の可能性についても議論する。

 

 

九州・沖縄昆虫研究会 2018年春の例会

 陽春の候、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
  昨年12月に発足しました九州・沖縄昆虫研究会の記念すべき第1回の例会のご案内を差し上げます。
  今回は、近畿大学農学部の早坂大亮博士と橋本洸哉博士のお二方に佐賀にお越しいただき、下記のように計3題の話題提供をして頂けることになりました。 是非多数の皆様にご参加頂けますと非常に幸いです。
  なお、本例会は第72回九州昆虫セミナーとの合同開催です。一部の方には重複して案内を送付させていただきますが何卒ご容赦下さい。
  また、講演要旨は後日改めて送付させていただく所存です。

日時:2018年5月12日(土)15:00?17:30
(懇親会18:30-;会場未定)
場所佐賀大学農学部1号館南棟1階S101室
[自家用車での大学構内への入構が2017年4月より有料(200円)となりました。何卒ご了承賜れますと幸いです。]

講演1  早坂 大亮 博士(近畿大・農)
  アルゼンチンアリをふみつけろーアルチンに対する新たな防除手法の検討
講演2 橋本 洸哉 博士(京大生態研・近畿大・農)
  植物を介した2種のチョウの間接相互作用:種特異的な餌要求量の意義
講演3  早坂 大亮 博士・橋本 洸哉 博士(近畿大・農)
  農薬散布が水田の捕食性昆虫群集に与える直接・間接的な影響

18:30- 懇親会
  (参加費:3,500円[予定])
※懇親会への参加を希望される方は、5月9日(水)までに徳田 tokudam[アット]cc.saga-u.ac.jp までご連絡頂けますと幸いです。何卒よろしくお願いいたします。
九州・沖縄昆虫研究会・幹事(例会担当)徳田 誠

 

日本昆虫学会九州支部第82回例会・臨時総会

 先日来の九州北部地方での記録的な豪雨により,心配な日々をお過ごしの方もいらっしゃることと存じます。謹んでお見舞い申し上げます。
 2017年度の夏の例会は,以下の要領で九州大学(箱崎)において開催する運びとなりましたのでお知らせいたします。今回は、九州大学の村上貴弘博士と細石真吾博士のお二方に、アリに関する話題提供をして頂けることになりました。また,本年9月に日本昆虫学会は一般社団法人に移行することになっております。これに伴い,日本昆虫学会九州支部を解散することになり,臨時総会を行います。多数の皆様にご参加頂けますと非常に幸いです。


日時:2017年 7月 29日(土)15:00-17:20
(懇親会18:00-、農学部1号館3階307室)
場所九州大学箱崎キャンパス 農学部1号館2階218室
  (アクセスMAP 箱崎キャンパス;下記サイト63番の建物です)

 15:00-16:00 講演1
細石真吾博士(九州大学・熱帯農学研究センター)
「熱帯アジアにおけるシリアゲアリ属の系統進化と種多様性」
 16:20-17:20 講演2
村上貴弘博士(九州大学・決断科学センター)
「ヒアリ(Solenopsis invicta)の侵入に我々は今後どう対処していけば良いのか?」

 17:30-17:45 日本昆虫学会九州支部・臨時総会
  支部の解散と新研究会の発足について

 18:00- 懇親会
(参加費:一般 3,000円、学生2,000円[予定])
※ 懇親会への参加を希望される方は、5月30日(月)までに徳田 誠( tokudam[アット]cc.saga-u.ac.jp )宛、あるいは紙谷聡志( kamitani[アット]agr.kyushu-u.ac.jp ) 宛にご連絡頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします。

日本昆虫学会九州支部・幹事(例会担当)徳田 誠

 なお、今後おこなわれる例会および大会の案内は,会員へのメール配信とホームページ (http://entosockyushu.web.fc2.com/) の掲載にておこないます。この研究会に関心のある方は、会員としてメール登録していただくか、各自でホームページにて活動内容を確認していただくことになります。メール登録される方は,私宛(舘 <tachi[アット]scs.kyushu-u.ac.jp>)にご連絡ください。何とぞご理解いただきますようお願いいたします。


講演1(15:00-16:00)
熱帯アジアにおけるシリアゲアリ属の系統進化と種多様性
細石 真吾(九州大学・熱帯農学研究センター 助教)

シリアゲアリ属Crematogasterは世界から約400種が知られる大きな分類群であり、

熱帯で特に種数が多く、地下から樹冠まで幅広い生活空間に進出していることが知られている。アリ植物マカランガと共生関係を持つ種群や複眼が退化した地下性種、分泌腺が肥大して化学防御に用いる種群など、形態や生活史において多様で興味深い特徴を示すアリである。演者は従来の形態形質を用いた再検討や系統解析に加え、核・ミトコンドリアDNAを用いた分子系統解析や分岐年代推定を行い、地質年代スケールでの陸塊の状態を踏まえて、シリアゲアリ属の分類・系統・生物地理を考察している。本講演では、これまでの調査と研究によって得られたいくつかの知見を可能な限りご紹介したい。

 

講演2(16:20-17:20)
ヒアリ(Solenopsis invicta)の侵入に我々は今後どう対処していけば良いのか?
村上貴弘(九州大学・決断科学センター 助教)

 2017年5月26日に兵庫県尼崎のコンテナからヒアリ(Solenopsis invicta)のコロニーの断片が発見されました。日本では初確認の事態に、環境省・神戸市・マスコミなど各機関はそれぞれがかなり混乱した中で緊急の対策を講じました。その結果、ポートアイランドでヒアリとアカカミアリ(Solenopsis geminate)を更に発見し、複数回の侵入の可能性が示唆されております。おそらく今後全国の港でヒアリの調査が入ると思いますが、専門的知見を持った大学・博物館・環境コンサルタント業者の役割は非常に大きいと思っております。どのような問題点があるのか?今後の展望は?市民にどのように情報を提供していくべきか?継続的なモニタリング体制の構築の必要性、などを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。


日本昆虫学会九州支部第81回例会

日本昆虫学会九州支部第81回例会[兼 鹿児島昆虫同好会例会、 第62回九州昆虫セミナー、鹿児島大学農学部害虫学セミナー]

開催日時:2017年5月13日(土)[受付開始13:30]
開催場所:鹿児島大学郡元キャンパス

   (JR鹿児島中央駅から市営バス9・11・20番線 「鹿大正門前」 下車)
1.例会(14:00~17:30)
 鹿児島大学大学院連合農学研究科(正門入ってすぐ左;構内図参照)
 3階 大会議室
・14:00-­‐14:50 講演1
  長峯 啓佑 氏(南九州大学)
  昆虫はいつ何をきっかけに蛹になる決心をするか
・15:00-­‐15:50 講演2
  守山 泰司 氏(鹿児島昆虫同好会)・○金井 賢一 氏(鹿児島県博)
  トカラ列島のチョウ類
・16:00-­‐17:30 一人一話
2.交流会(18:00~20:00)
 鹿児島大学生協中央食堂パーティールーム(構内図参照)

 

日本昆虫学会九州支部第80回例会

 私事で恐縮ですが、広島東洋カープが25年ぶりにセ・リーグのペナントレースを制し、興奮冷めやらぬ日が続いております。皆様はいかがお過ごしでしょうか。
 2016年度の秋の例会は,以下の要領で佐賀大学において開催する運びとなりましたのでお知らせいたします。
今回は,弘前大学の山尾僚博士と森林総研の向井裕美博士のお二方にお越し頂き,下記のような話題提供をして頂けることになりました。
 多数の皆様にご参加頂けますと非常に幸いです。

 なお,本例会は第58回九州昆虫セミナーとの合同開催です。一部の方には重複して案内をお送りしますが何卒ご容赦下さい。

―――
日時:2016年10月15日(土)15:00?17:20
(懇親会18:00?、会場未定)
場所佐賀大学農学部1号館南棟1階S101室

15:00-16:00 講演1
  向井 裕美 博士(森林総研・森林昆虫)
  キンカメムシの多感覚を利用した求愛コミュニケーションからみる昆虫の環世界
16:20-17:20 講演2
  山尾 僚 博士(弘前大・農生)
  となりの植物と築く多様な相互作用:種内関係から植物-アリ共生系の謎に挑む
18:00- 懇親会
(参加費:3,500円[予定])
※懇親会への参加を希望される方は、10月12日(水)までに徳田tokudam[アット]cc.saga-u.ac.jpまでにご連絡頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします。 日本昆虫学会九州支部・幹事(例会担当)徳田 誠

 

講演1(15:00-16:00)
キンカメムシの多感覚を利用した求愛コミュニケーションからみる昆虫の環世界
向井裕美(森林総研・森林昆虫)
昆虫は,ときに複数の感覚を同時並列的に利用し,環境や対象の詳細な把握を可能にしている.ナナホシキンカメムシ(Calliphara exellens)は,複雑な求愛コミュニケーションを示すことが知られる.一連の配偶行動のなかで,本種の雄は,基質振動,体色,低揮発性化学物質といった,複数のシグナルを併用することが明らかになった.雌の感覚受容器を処理して感覚遮断実験を試行したところ,基質振動シグナルへの依存度は極めて高く,その他のシグナルと相互作用しながら配偶相手を選択していることが明らかになった.本種をモデルとして,昆虫を含む動物の複数感覚を利用した意思決定様式の解明を目指す.


講演2(16:20-17:20)
となりの植物と築く多様な相互作用:種内関係から植物-アリ共生系の謎に挑む
山尾僚(弘前大・農生)
植物の中には、アリ類に蜜や脂質等の食物を提供して植食者を排除させる防御共生を築く種が知られる。彼らの共生関係の強さは地域集団によって大きく異なる。このような変異はどの様に創出され、維持されるのだろうか。アリ類との共生関係をもつアカメガシワ(Mallotus japonicus)を用いて、共生関係の地理的変異を解析したところ、アリ類の多様性とスペシャリスト植食者の存在に依存していた。さらに、隣接する同種個体と協力するかしないかによって、多様な戦術の適用を可能にしていることが示唆された。これらの結果をふまえ、植物?動物相互作用系における植物間相互作用の重要性について考えてみたい。

日本昆虫学会九州支部第79回例会

 梅雨明けが間近に迫った今日この頃ですが,皆様いかがお過ごしでしょうか。
 2016年度の夏の例会は,以下の要領で佐賀大学において開催する運びとなりましたのでお知らせいたします。
今回は,芝浦柏中高の松本嘉幸先生と国立環境研の降幡俊介先生のお二方にお越し頂き,話題提供をして頂けることになりました。
 多数の皆様にご参加頂けますと非常に幸いです。

日時:2016年7月30日(土)15:00?17:20 (懇親会18:00-、会場未定)
場所佐賀大学農学部1号館南棟1階S101室

15:00-16:00 講演1
 降幡俊介先生(国立環境研)
 天敵・景観情報の利用と農薬の生態影響評価:生態系保全型農業の実現に向けて

16:20-17:20 講演2
 松本嘉幸先生(芝浦柏中高)
 可愛い生き物 - アブラムシの魅力を学ぶ -

※講演要旨は後日送付いたします。

18:00- 懇親会
(参加費:3,500円[予定])

※懇親会への参加を希望される方は、7月28日(木)までに徳田tokudam[アット]cc.saga-u.ac.jpまでにご連絡頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします。

日本昆虫学会九州支部・幹事(例会担当)徳田 誠

 

講演1(15:00-16:00)

天敵・景観情報の利用と農薬の生態影響評価:生態系保全型農業の実現に向けて

降幡 駿介(国立環境研究所)

高齢化や人手不足,また海外産品を含めた価格競争にさらされる日本の農業にあって,省力化・収量増加・品質向上のために農薬は欠かすことができない.一方で,消費者の間では食の安全・安心や環境問題への関心が高まっており,農薬の使用を削減しつつ省力化や質と量の維持・向上を図ることが喫緊の課題となっている.
私は農研機構東北農研において,殺虫剤の使用を削減するためのふたつのストラテジーに関する研究に携わった.ひとつは在来天敵の利用,もう一つは景観情報に基づき高リスク圃場を特定した上でのピンポイントな防除である.また,現在所属する国立環境研究所においては,同系統であっても個々に力価や作用スペクトラムが異なる薬剤のうち,どれが環境負荷が比較的低いのかを検討する「生態リスク評価」に携わっている.今回の講演ではこれらの研究内容について紹介し,より人と環境にやさしい農業の実現に向けた取り組みを概観したい.


講演2(16:20-17:20)

可愛い生き物 〜アブラムシの魅力を学ぶ〜
松本嘉幸
(芝浦工大柏中学高校教諭) 

 私は大学時代から興味を持ち、様々な方からご教示を受けながら仕事を進めてきたアマチュアの「アブラムシ研究者」です。大学の指導教官から「難しいから研究テーマにしない方がいいよ」と言われ、それでも意地をはってアブラムシを追いかけ、早や40年以上も過ぎてしまいました。2008年に庭先から里山までのアブラムシ230種を掲げた「アブラムシ入門図鑑」を世に出し、現在は里山から奥山のブナ帯までを範囲にしたアブラムシの写真を撮影しているところです。私の撮影機材では5倍までしかとれませんが、それでも彼女たち(アブラムシは基本メスばかりですので)の生きざまは十分感じ取れます。例えば写真のように春先の「幹母」はとても魅力的です。セミナーではそのような話題を取り入れながら少しでもアブラムシの魅力をお話しできればと思います。


 

日本昆虫学会九州支部第78回例会

本年4月に起きた熊本地震により被災された会員の皆様に心よりお見舞い申し上げます。余震が早く収まり、被災地域が一日も早く復興することをお祈り致します。
さて、春の支部例会を九州大学(箱崎キャンパス)で開催しますので御案内します。
松尾和典博士と松林 圭博士(ともに九州大学)に話題提供をしていただけることになりました。
皆様の御参加をお待ちしています。

日時:2016年 6月 4日(土)15:00-17:20
(懇親会18:00-、農学部1号館3階307室)
場所:九州大学箱崎キャンパス 農学部1号館2階218室
  (アクセスMAP 箱崎キャンパス;下記サイト63番の建物です)

15:00-16:00 講演1
松尾和典 博士(九州大学 比較社会文化研究院)
「天敵の探索と利用に関する研究」

16:20-17:20 講演2
松林 圭 博士(九州大学 基幹教育院)
「東南アジアの島々に、植食性テントウムシの適応放散を追う」

18:00- 懇親会
(参加費:一般 3,000円、学生2,000円[予定])
※ 懇親会への参加を希望される方は、5月30日(月)までに徳田 誠( tokudam[アット]cc.saga-u.ac.jp )宛、あるいは紙谷聡志( kamitani[アット]agr.kyushu-u.ac.jp ) 宛にご連絡頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします。

日本昆虫学会九州支部・幹事(例会担当)徳田 誠

講演1(15:00-16:00)
天敵昆虫の探索と利用に向けた研究
松尾 和典(九州大学 比較社会文化研究院 助教)

本発表では、天敵昆虫の分類基盤の整備から利用に向けた研究を紹介したい。
1. 分類基盤の整備:果樹カメムシ類の有望な天敵チャバネクロタマゴバチには2種が混同されていることが分かった。ここでは分類学的研究の結果と今後の展望を紹介する。
2. 天敵導入に向けた取組:アフリカ原産のデイゴヒメコバチによって、デイゴが被害を受けている。防除の一環としてアフリカ原産の天敵デイゴカタビロコバチの導入を検討しており、今回は、その準備状況を紹介する。
3. 天敵利用技術の開発:ミナミキイロアザミウマは様々な植物を加害し、また容易に薬剤抵抗性を獲得するので問題になっている。施設ナスにおいて、本害虫の防除にスワルスキーカブリダニを利用した試みを紹介する。


講演2(16:20-17:20)
東南アジアの島々に、植食性テントウムシの適応放散を追う
松林 圭(九州大学 基幹教育院 助教)

近年、環境への適応と種分化との関係に注目が集まっており、進化生物学における中心的な話題のひとつになっている。演者は東南アジアに分布する植食性テントウムシ Henosepilachna diekei の地理変異を材料に、適応による種分化の生態学的・遺伝学的機構を調査している。インドネシアおよびその周辺国における調査と、様々な実験の結果、本種テントウムシは少なくとも3科4属5種の食草に特化した寄主品種(ホストレース)を含むことがわかってきた。さらに、これらのホストレース間では、寄主植物の違いが急速な適応放散をもたらした主要因であることが判明した。今まさに進行中であるダイナミックな系統分岐の実例を、東南アジアにおける昆虫調査の魅力と苦労とともに紹介したい。

 

日本昆虫学会九州支部第77回例会

 秋分も過ぎ,秋を感じる頃となりましたが,皆様いかがお過ごしでしょうか。
 2015年度の秋の例会は,以下の要領で佐賀大学において開催する運びとなりましたので お知らせいたします。
今回は,森林総研の高梨琢磨博士と近中四農研の世古智一博士のお二方にお越し頂き,話 題提供をして頂けることになりました。
 多数の皆様にご参加頂けますと非常に幸いです。

 なお,本例会は第48回九州昆虫セミナーとの合同開催です。一部の方には重複して案内 をお送りしますが何卒ご容赦下さい。


日時:2015年10月17日(土)15:00?17:20
(懇親会18:00-、会場未定)
場所:佐賀大学農学部1号館南棟1階第3講義室

 

15:00-16:00 講演1
高梨琢磨博士(森林総合研究所)
振動によるカミキリムシの行動制御と害虫防除への応用

16:20-17:20 講演2
世古智一博士(近畿中国四国農業研究センター)
天敵の育種〜飛ばないテントウムシの育成事例と今後の展望〜

18:00- 懇親会
(参加費:3,500円[予定])
※懇親会への参加を希望される方は、10月14日(水)までに徳田tokudam[アット]cc.saga-u.ac.jp
までにご連絡頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします。

日本昆虫学会九州支部・幹事(例会担当)徳田 誠

 

講演1(15:00-16:00)
振動によるカミキリムシの行動制御と害虫防除への応用
高梨琢磨(森林総合研究所)

昆虫は、固体を伝わる振動に敏感である。振動は捕食者からの回避や、配偶者認識のための情報
として用いられる。演者のグループは、カミキリムシ類等を対象に、振動による行動制御と害虫防
除への応用研究をおこなっている。マツノマダラカミキリの成虫は低周波の振動によって、驚愕反
応やフリーズ反応(運動の停止)を示した。これは、振動が捕食者または配偶者の情報となってい
ることを示唆する。また、演者らは肢に内在する弦音器官が振動を受容することを甲虫類で発見し
た。以上より、振動によって様々な行動が制御可能であることから、振動を用いた害虫防除法を開
発した。この成果として、特定の振動を寄主植物であるマツに与えると、マツノマダラカミキリの
産卵や定着が阻害されることを示した。現在、高出力の振動発生装置を作製し、環境低負荷型で汎
用性のある害虫防除の実用化を目指して研究を進めている。


講演2(16:20-17:20)
天敵の育種〜飛ばないテントウムシの育成事例と今後の展望〜
世古智一(近畿中国四国農業研究センター)

「育種」という言葉を耳にすると、作物や家畜の育種を連想する人は多いだろう。一方、生物的
防除に利用される天敵を対象に育種改良が試みられてきた事については、ほとんど知られていない
のではないだろうか。本講演では、天敵育種におけるこれまでの事例とともに、演者らが行った遺
伝的に飛翔能力を欠くナミテントウ系統(飛ばないナミテントウ)の育成と実用化に向けた取り組
みについて紹介する。また天敵育種における今後のテーマの1つとして、捕食性天敵における地域
集中探索時間の変異に着目した系統の育成についても触れたい。

 

日本昆虫学会九州支部第76回例会

梅雨空が続いておりますが,皆様いかがお過ごしでしょうか。
2015年度の夏の例会は,以下の要領で九州大学(箱崎)において開催する運びとなりましたのでお知らせいたします。今回は、九州大学の細川貴弘博士と日室千尋博士のお二方にカメムシに関する話題提供をして頂けることになりました。多数の皆様にご参加頂けますと非常に幸いです。


日時:2015年7月25日(土)15:00-17:20
(懇親会18:00-@農学部1号館307室)
場所:九州大学農学部1号館2階218室(箱崎キャンパス;下記サイト63番の建物です)
http://www.kyushu-u.ac.jp/access/map/hakozaki/hakozaki.html

15:00-16:00 講演1
日室千尋 博士(九州大学大学院理学研究院生態科学研究室)
楽園を追放されたカメムシの繁殖をめぐる性的対立
- コバネヒョウタンナガカメムシの雌は雄の射精物に対抗適応できないと死ぬ!?
-

16:20-17:20 講演2
細川貴弘 博士(九州大学大学院理学研究院生態科学研究室)
チャバネアオカメムシの腸内共生細菌の種内多型はどのように生じたか?

18:00- 懇親会
(参加費:3,000円[予定])

※懇親会への参加を希望される方は、7月21日(火)までに徳田tokudam[アット]cc.saga-u.ac.jp宛、あるいは紙谷聡志博士E-mail: kamitani[アット]agr.kyushu-u.ac.jp 宛にご連絡頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします。

日本昆虫学会九州支部・幹事(例会担当)徳田 誠

 

日本昆虫学会九州支部第75回例会

 満開の桜も天候の影響で思うように楽しめない日が続きましたが,皆様いかがお過ごしでしょうか。
 2015年度の春の例会は,以下の要領で鹿児島大学において開催する運びとなりましたのでお知らせいたします。
 多数の皆様にご参加頂けますと非常に幸いです。

 なお,本例会は,鹿児島昆虫同好会例会・九州昆虫セミナー・鹿児島大学農学部害虫学セミナーとの合同開催です。一部の方には重複して案内が届くことと思いますが何卒ご容赦下さい。

―――
日時:2015年5月9日(土)14:00-17:30(交流会:18:00-20:00)
場所:鹿児島大学農学部共通棟1階 101講義室(郡元キャンパス)
http://www.kagoshima-u.ac.jp/about/access.html

13:30 受付開始
14:00-14:50 講演1
荒谷 邦雄 先生(九州大学) クワガタ学の魅力? 昆虫少年の夢はどこまで叶ったか??
15:00-15:50 講演2
福田 晴夫 先生(鹿児島市) クロマダラソテツシジミはなぜ2007年から急増したか?
16:00-17:30 一人一話

18:00-20:00 交流会@鹿児島大学生協中央食堂
(交流会参加費:3,000円[予定])
―――

 ※交流会への参加をご希望の方は,4月30日(木)までに以下の幹事のいずれか宛にご連絡下さい(連休をはさみますので〆切厳守で何卒よろしくお願いいたします)。
日本昆虫学会・九州昆虫セミナー関係者:徳田 tokudam[アット]cc.saga-u.ac.jp
鹿児島昆虫同好会関係者:金井 viola-kk[アット]po.synapse.ne.jp
鹿児島大学関係者:坂巻 ysaka[アット]agri.kagoshima-u.ac.jp

 

講演1:クワガタ学の魅力 ?昆虫少年の夢はどこまで叶ったか??

荒谷 邦雄(九大院・比文) 

 雄が立派な大アゴを備えた種が多いクワガタムシは世界的にも人気が高く,愛好者も多いが,形態や行動,生態において極めて多様性に富んだクワガタムシに関する「生物学的な研究課題」は,いまだ数多く残されている。幼稚園児の頃にクワガタムシに出会って以来その魅力に取り付かれた演者は,研究者としての道を歩み,これまでに世界6大陸30カ国以上でクワガタムシの調査や採集を実施してきた。本講演では,「クワガタムシのすべてが知りたい」と願った演者がこれまで行ってきた研究の成果を中心に,クワガタ学の最前線を紹介・解説したい。

 

講演2:クロマダラソテツシジミはなぜ2007年から急増したか?

福田 晴夫(鹿児島市)

 ここ10年足らずの間に,これほど蝶屋を騒がせ,そして呆れさせ,造園業者を困らせたチョウはいない。2007年から2014年まで,毎年,南西諸島から九州に出現し,時に四国,本州は関東地方まで発生地を広げて,消える。なぜ,こんなことになってしまったのか。ソテツを食うシジミチョウは,何か特異なものを持っているのか。
未知の課題は山積しているが,ソテツのフェノロジーに巧みにマッチした彼らの生活には敬意を表したい! それにしても,これもまたヒトの快楽を求める飽くなき欲求のなせるものか。これに対応する日本の蝶屋たちの反応も気になる。残された難問にどう立ち向かうか。

 

日本昆虫学会九州支部例会に関するお問い合わせは下記までお願いいたします。

日本昆虫学会九州支部・幹事(例会担当)徳田 誠
E-mail: tokudam[アット]cc.saga-u.ac.jp

 


日本昆虫学会九州支部第74回例会

  例年になく雨の多い夏が過ぎ、残暑を経ぬまま秋の気配が感じられる季節となりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。

 本年度秋の日本昆虫学会九州支部例会を、10月11日(土)に佐賀大学農学部(佐賀市)において開催することになりましたのでご案内を差し上げます。

 今回は、九州沖縄農業研究センターの松村正哉博士と大塚彰博士のお二方にご講演頂けることになりました。
多数の皆様にご参加頂けますと非常に幸いです。

 なお、本例会は第31回九州昆虫セミナーとの合同開催です。
一部の方には案内が重複いたしますが何卒ご容赦下さい。

 

日時:2014年10月11日(土)15:00?17:20
(懇親会18:00?@佐賀大学構内[予定])
場所:佐賀大学農学部1号館1階 第3講義室

http://www.saga-u.ac.jp/gaiyo1/campusmap/index.html

講演1(15:00-16:00)
・ハスモンヨトウの長距離移動について
  大塚 彰 博士(九州沖縄農業研究センター)
講演2(16:20-17:20)
・イネウンカ類の翅二型研究:これまでの研究史と今後の課題
  松村 正哉 博士(九州沖縄農業研究センター) 

 

 例会終了後に佐賀大学構内(予定)におきまして懇親会を開催いたします。
(会費:3,500円[学生2,500円]の見込み)
懇親会への参加を希望される方は、10月7日(火)までに徳田宛にご連絡頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします。

 日本昆虫学会九州支部・幹事(例会担当)徳田 誠
【連絡先】E-mail: tokudam[アット]cc.saga-u.ac.jp   Tel: 0952-28-8792


講演1(15:00-16:00
ハスモンヨトウの長距離移動について
大塚 彰(九州沖縄農業研究センター)

佐賀大学の藤條純夫らのグループはハスモンヨトウの相変異と移動との関係,飛翔に必要なエネルギー源や,台風,秋雨前線時のフェロモントラップ誘殺消長の解析,中国,台湾でのフェロモントラップによる発生調査,寄生蜂の研究などを精力的に行い,ハスモンヨトウの移動実態解明を長年追求してきた。本講演ではこれらの先駆的な成果を概観するとともに,著者も参加した,東アジアにおける春から初夏に起こるハスモンヨトウの海を越えた移動の解析結果を紹介する。そこでは九州や韓国南部に設置したフェロモントラップの誘殺数が増加した時に後退流跡線が中国南部や台湾まで到達する例が多数見つかり,ハスモンヨトウが東シナ海を越えて九州などに移動していることが示唆された。移動時の気象としては前線や低気圧に伴う気流が発生しており,本種がこうした気流を利用して海を越えていると推定された。さらに著者らのグループは,本種の移動分散を詳しく調べるために,上空の飛翔昆虫をセンシングできるマイクロ波昆虫レーダを試作し野外調査を行っているので,その予備的な結果についても紹介する。

 

講演2(16:20-17:20
イネウンカ類の翅二型研究:これまでの研究史と今後の課題
松村正哉(九州沖縄農業研究センター)

 イネウンカ類の成虫には長翅型と短翅型という翅二型(wing dimorphism)が存在する。イネウンカ類の翅二型研究は岸本良一が1956年に密度と翅型との関係についての論文をNatureに発表して以来,半世紀以上の歴史があるが,とりわけ佐賀大学の藤條純夫らのグループが1980年代後半以降にトビイロウンカの翅二型の遺伝的・生理的背景を次々と明らかにしたことをきっかけに,ヒメトビウンカやセジロウンカについても翅二型の生態・遺伝学的研究が進展した。岸本は1993年に「ウンカの研究40年の回顧と今後の動向」と題した解説記事の中で,これらの研究に触れた上で「応用面からは遠くなったようである」とのコメントを残したが,実際には,これらの基礎研究に基づいた応用研究もその後数多く行われてきた。105億円もの被害を出した昨年の西日本におけるトビイロウンカの多発生は記憶に新しいが,いまだに水稲生産の最大の阻害要因となっているイネウンカ類の発生予察や防除対策の上では,増殖のキーを握っている翅二型現象の基礎研究に基づいた応用研究が今後もますます必要となってくる。そこで本講演では,これまでのイネウンカ類の生態・遺伝・生理学的研究に関するレビューを行い,今後の研究課題についても考察したい。

 

日本昆虫学会九州支部第73回例会

 梅雨とは思えぬ好天の日も見られます今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 2014年度の夏の支部例会は、以下の要領で九州大学(箱崎)において開催する運びとなりましたのでお知らせいたします。今回は、九州大学の中平賢吾博士と小松貴博士のお二方に話題提供頂けることになりました。是非多数の皆様にご参加頂けますと幸いです。

 

日時:2014年7月19日(土)15:00?17:20(懇親会18:00?@農学部1号館307室)

場所:九州大学農学部1号館2階218室(箱崎キャンパス;下記サイト63番の建物です)

http://www.kyushu-u.ac.jp/access/map/hakozaki/hakozaki.html

講演1(15:00-16:00)
アルファルファタコゾウムシの生態と防除
 中平 賢吾博士(九州大学大学院農学研究院附属生物的防除研究施設天敵昆虫学分野)
アルファルファタコゾウムシ(以下、アルタコ)はミツバチの蜜源植物であるレンゲの侵入害虫であり、本種の防除対策として寄生蜂であるヨーロッパトビチビアメバチ(アメバチ)が導入されている。アメバチはレンゲ上のアルタコに寄生することで、水田に発生するが、水田に発生したアメバチはその後の稲作によって土壌にすき込まれ、死亡すると考えられる。つまり、アメバチの個体群維持にはカラスノエンドウなどの雑草が重要であると考えられる。本発表では、カラスノエンドウ上のアルタコの発生消長と発生に及ぼす周辺植生の影響、アメバチを発生させるための寄主植物の栽培方法について解説する。


講演2(16:20-17:20)
・裏山の昆虫学・わからないことをわかりたい
 小松 博士(九州大学熱帯農学研究センター) 
アリの巣とその周辺には、それを利用して生活することにいちじるしく特化した多くの昆虫が生活しており、好蟻性昆虫と呼ばれている。演者はこれまで、好蟻性昆虫の一群であるアリヅカコオロギ属の行動生態ならびに分子系統解析をおこない、寄主と寄生者の相互作用進化にせまる研究を行ってきた。そのかたわら、演者は様々な分類群の好蟻性昆虫についても野外観察をおこない、民家周辺の身近な裏山環境を中心として、日本国内にはいまだ相当種数の未知なる好蟻性昆虫が生息していることを明らかにしてきた。本講演では、現在までに演者が明らかにした、様々な未確認好犠牲昆虫の種類および生態の概要を紹介する。同時に、好蟻性昆虫のような「人間の福利厚生に寄与しない生き物」の研究を通して、科学という言葉が本来持つ意味を考えたい。

※懇親会への参加を希望される方は、7月11日(金)までに徳田誠(tokudam[アット]cc.saga-u.ac.jp)宛、あるいは紙谷聡志( kamitani[アット]agr.kyushu-u.ac.jp)宛にご連絡頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします。


日本昆虫学会九州支部第72回例会

 木々の若葉が爽やかに感じられる季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
本年度春の日本昆虫学会九州支部例会は、5月24日(土)に、森林総研九州支所(熊本市)において開催することになりましたのでご案内を差し上げます。
今回は、熊本大学の杉浦直人博士と、九州沖縄農業研究センターの三田敏治博士のお二方にご講演頂けることになりました。
多数の皆様にご参加頂けますと非常に幸いです。

 なお、本例会は、第24回九州昆虫セミナーとの合同開催です。一部の方には案内が重複して届くものと思いますが、何卒ご容赦下さい。

 

日時:2014年5月24日(土)14:30?16:50
(懇親会18:30?[予定*])
場所:森林総研九州支所(熊本市中央区黒髪4-11-16)
[会場へのアクセスにつきましては下記のサイトをご参照下さい。]
http://www.ffpri.affrc.go.jp/kys/access/index.html

講演1(14:30-15:30)
アジアの水田でみられるカマバチの地理的遺伝構造
  三田 敏治 博士(九州沖縄農業研究センター)
講演2(15:50-16:50)
 ・レブンアツモリソウの受粉生態学:マルハナバチを利用した花の策略
  杉浦 直人 博士(熊本大学大学院自然科学研究科) 

 

*懇親会は例会終了後に熊本市内の居酒屋(会場未定)で開催する予定です。
参加を希望される方は、5月16日(金)までに徳田宛にご連絡頂けますと幸いです。何卒よろしくお願いいたします。

 日本昆虫学会九州支部・幹事(例会担当)徳田 誠
【連絡先】E-mail: tokudam[アット]cc.saga-u.ac.jp         Tel/Fax: 0952-28-8792


講演1
アジアの水田でみられるカマバチの地理的遺伝構造
三田 敏治(九州沖縄農業研究センター)

 イネウンカ類(トビイロウンカ、セジロウンカ、ヒメトビウンカ)は大規模な長距離移動を行うことで知られている。一方で、この分散でイネウンカの寄生性天敵にも寄主に寄生したまま運ばれているものがいる。この移動様式の適応的意義については不明だが、彼らの集団遺伝構造は現在も膨大に移動する寄主の影響を強く受けて成り立っているはずである。そのような寄主を介した長距離移動性を示す天敵として、水田カマバチは代表的な分類群である。そこで、本講演ではイネウンカ類3種それぞれに特徴的なトビイロカマバチ、クロハラカマバチ、キアシカマバチの東–東南アジアにおける地理的遺伝構造について概説する。ハプロタイプの分布パターンは、3種ともに地理的距離より寄主の飛来量、寄主の越冬性に影響を受けていると考えられた。また、キアシカマバチでは寄主であるトビイロウンカで認められなかった地理的個体群が見いだされた。イネウンカ類は移動量が多いため集団遺伝構造に地理的傾向がほとんど見られないが、寄生者は運ばれる量が圧倒的に少ないため、彼らの地理的遺伝構造からイネウンカ類の移動経路が説明可能かもしれない。

 

講演2
レブンアツモリソウの受粉生態学:マルハナバチを利用した花の策略
杉浦 直人(熊本大学大学院自然科学研究科)

 レブンアツモリソウは北海道・礼文島のみに自生するラン科植物の1種である。本種は、かつて大量に盗掘されたこともあり、第4次レッドリスト(2012年)では「絶滅危惧TB類(EN)」に分類されている。本講演では、環境省レブンアツモリソウ保護増殖分科会の一員として現地調査を行なうことで知り得たレブンアツモリソウの繁殖生態の一端についてお話しさせていただく。具体的には以下の3つの側面について解説する。@花粉を運ぶ虫について:花粉媒介者がニセハイイロマルハナバチ・女王バチであることを述べると共に、蜜がなく花粉も利用不可能な花にどうして女王バチが訪れてしまうのか推察する。A花のつくりと受粉のしくみ:レブンアツモリソウの特異な花の構造を示し、いかにそれが機能的にデザインされているか解説する。B実とタネのでき具合:稔実率とその年変動性についてのデータを示し、その変動要因のひとつとして毎年の女王バチ発生量が効いている可能性について述べる。また、実あたりの稔性種子数の計測結果についても触れる。これら以外にも、時間が許せば、礼文島に稀産するホテイアツモリソウ(花色は赤紫で、白色〜淡黄色の花を咲かせるレブンアツモリソウとは変種関係にある)の繁殖生態についても報告し、レブンアツモリソウとの違い等を比較してみたい。

 

日本昆虫学会九州支部第71回例会

 ようやく酷暑が和らいだかと思えば、今度は雨の多い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
本年度から2年間の試行として、日本昆虫学会九州支部例会を春、夏、秋の3度開催する運びとなりました。本年度秋の支部例会は、10月19日(土)に、佐賀大学において開催いたします。
今回は、農業生物資源研究所の田中誠二博士と、南九州大学の新谷喜紀博士のお二方にご講演頂けることになりました。
是非多数の皆様にご参加頂けますと幸いです。

 なお、本例会は、第13回九州昆虫セミナーとの合同開催です。一部の方には案内が重複して届くものと思いますが、何卒ご容赦下さい。

日時:2013年10月19日(土)15:00?17:20(懇親会18:00?@佐賀大学生協[予定])
場所:佐賀大学農学部1号館1階 第3講義室
[※佐賀大学の正門は車両通行止となりましたので、お車でお越しの際には南バイパス方面から中門を通ってご入構下さい。]
講演1(15:00-16:00)
過変態昆虫マメハンミョウの生活史調節機構
 新谷 喜紀 博士(南九州大・昆虫生態)
講演2(16:20-17:20)
・相変異するバッタの体色と行動の制御
 田中 誠二 博士(農業生物資源研究所) 

 懇親会への参加を希望される方は、10月15日(火)までに徳田宛にご連絡頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします。

 日本昆虫学会九州支部・幹事(例会担当)徳田 誠
【連絡先】E-mail: tokudam[アット]cc.saga-u.ac.jp         Tel: 0952-28-8792


日本昆虫学会九州支部第70回例会

例年より早めの梅雨入り後、雨の気配がほとんどない日が続いておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか。
2013年度の夏の支部例会は、以下の要領で九州大学(箱崎)において開催する運びとなりましたのでお知らせいたします。今回は、本年4月に九州大学に着任されました広渡俊哉博士と、北九州市立自然史・歴史博物館に着任されました簑島悠介博士のお二人に話題提供頂けることになりました。是非多数の皆様にご参加頂けますと幸いです。

日時:201376日(土)15:00?17:20
(懇親会18:00? @農学部1号館307室)

場所:九州大学農学部1号館2階218室(箱崎キャンパス)
http://www.kyushu-u.ac.jp/access/map/hakozaki/hakozaki.html
(上記の箱崎キャンパスマップの62 (63)番の建物です。)


講演1(15:00-16:00
ガムシ科の幼虫形態と系統
 蓑島 悠介 博士(北九州市立自然史・歴史博物館)
鞘翅目ガムシ科(狭義)は世界から4亜科約2800種が知られ、日本からは3亜科約130種が記録される。日本の水生ガムシ科の分類研究は比較的進んでいるが、陸生種では未だ混乱が見られる。ガムシ科内の系統関係についても、形態・分子系統樹間で不一致が見られ、系統仮説の再検討が必要である。本講演では、ガムシ科の幼虫形態と、その形態から推定された新たな系統仮説について紹介する。

講演2(16:20-17:20
潜葉性小蛾類に関する最近の分類研究
 広渡 俊哉 博士(九州大学昆虫学教室) 
潜葉性昆虫(絵かき虫)とは、主に幼虫が葉に潜る習性がある昆虫のことであり、チョウ(鱗翅)目、ハエ(双翅)目、コウチュウ(鞘翅)目、ハチ(膜翅)目などでみられる。このうちチョウ目では、世界の約30科で潜葉性がみられるとされており、分類が進んでいないグループも多く残っている。本講演では、日本産の潜葉性小蛾類(スイコバネガ、ツヤコガ、ハモグリガ、チビガ、ホソガなど)について、日本における最近の分類研究の進展やそれぞれの科に特徴的な幼虫の潜葉習性などについて紹介する。

 ※懇親会費は3,000円の予定です。懇親会への参加を希望される方は、628日(金)までに下記の徳田宛、あるいは紙谷聡志博士E-mail: kamitani[アット]agr.kyushu-u.ac.jp 宛にご連絡頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします。

日本昆虫学会九州支部・幹事(例会担当)徳田 誠
【連絡先】E-mail: tokudam[アット]cc.saga-u.ac.jp       Tel: 0952-28-8792


日本昆虫学会九州支部第69回例会

例年より一足早く花の盛りがすぎ、春の日差しが心地よく感じられる季節となりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。
近年、日本昆虫学会九州支部例会は夏に福岡で開催されておりましたが、本年度より、春と秋にも開催することになりました(PULEX 91号584頁の阿部芳久支部長による所信表明をご参照下さい)。
2013年度の春の例会は、以下の要領で鹿児島大学において開催する運びとなりましたのでお知らせいたします。
多数の皆様にご参加頂けますと幸いです。
なお、本例会は、鹿児島昆虫同好会例会・九州昆虫セミナー・鹿児島大学農学部害虫学セミナーとの合同開催です。一部の方には重複して案内が届くかと思いますが、何卒ご容赦下さい。

日時:2013年5月11日(土)14:30〜17:50
(交流会:18:00-20:00)
場所:鹿児島大学農学部共通棟1階 101講義室
(郡元キャンパス)
http://www.kagoshima-u.ac.jp/access/

14:30-15:20 講演1
井上 広光 博士(農研機構・果樹研究所)
ミカンキジラミによるカンキツグリーニング病の虫媒伝染様式
15:30-16:20 講演2
栗和田 隆 博士(鹿児島大学教育学部)
進化生態学から見た不妊虫放飼法
16:30-17:50 一人一話

18:00-20:00 交流会
会場:鹿児島大学生協中央食堂
参加費:3,000円(予定)

※交流会への出席をご希望の方は、5月7日(火)までに以下の幹事の
いずれか宛にご連絡下さい。
日本昆虫学会・九州昆虫セミナー関係者:徳田 tokudam[アット]cc.saga-u.ac.jp
鹿児島昆虫同好会関係者:金井 viola-kk[アット]po.synapse.ne.jp
鹿児島大学関係者:坂巻 ysaka[アット]agri.kagoshima-u.ac.jp

日本昆虫学会九州支部例会に関するお問い合わせは、下記までお願いいたします。

 日本昆虫学会九州支部・幹事(例会担当)徳田 誠
 E-mail: tokudam[アット]cc.saga-u.ac.jp
 Tel: 0952-28-8792
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